転職コラム
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医師の残業問題について解説
医師は激務で残業が多いということはよく言われますが、勤務医や研修医の場合は労働基準法によって残業時間の上限が定められています。
異常な残業時間にお悩みの医師は、もしかしたら違法な労働環境で働いている可能性があります。
この記事では、医師の残業実態や残業ルールについて解説します。
この記事の目次
長時間勤務が当たり前な医師の残業実態
結論、医師の残業時間は非常に長くなっています。
(労働政策研究・研修機構「『勤務医の就労実態と意識に関する調査』調査結果」)
4割以上の勤務医が毎週20時間以上、月80時間以上の残業をしているというデータが公表されており、実に医師の4割は厚生労働省の定める過労死基準を超えて勤務しているということになります。
※過労死基準:月80時間の残業時間ライン。これを超えると健康障害の発症リスクが高いとされる
働きすぎを控えるようにアドバイスをする側の医師が長時間残業で心身のバランスを崩してしまうこともあります。「医者の不養生」という言葉がありますが、特に大きな病院では長時間働くことが当然となってしまっており、一刻も早い環境改善が必要とされています。
過労死する医師も多い
こうした長時間の残業が原因となって過労死する医師も少なからずいて、病院に対して1億6700万円の支払いを命じたケースも存在します。(m3.com 「33歳男性医師の過労死、1億6700万円の賠償命令」)
このように病院側が責任を取るように裁判所から命じられることもあり、業界の雰囲気としては長時間の残業をさせないようにはなってきています。
なぜ医師の残業は長くなってしまうのか
そもそも、なぜ医師はこんなにも忙しいのでしょうか?
その原因は大きく3つ挙げられます。
応召義務がある
医師には、応召義務という医師法で定められた義務があります。
「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」(医師法19条)
要するに、特別な事情がない限りは患者の要求は断ることができないのです。こうして診察や治療が長引き、残業時間が日常的に伸びてしまいます。
医師不足の昨今は応召義務を担う医師の母数が少ないですし、少子高齢化によって高齢の患者数が増えてきています。つまり、少ない医者で大量の患者を診察しなくてはならない状況は今後もしばらく続くことが予想されます。
業界的に残業が当然と思われている
医師が扱うのは患者の命や健康です。応召義務がなくても患者のために残業はいとわない姿勢が大切であると思う医師が多く、職場全体でそういった雰囲気になりがちです。
確かに患者の命や健康は大切ですが、自分の命も大切です。残業続きで自分の生活が蔑ろになって体調を崩してしまっては本末転倒です。
診療以外にする仕事が多い
医師の仕事は患者の診察・治療だけだと思われがちですが、その他にもやるべきことはたくさんあります。
- ・院内委員会活動
- ・会議
- ・スタッフの教育、指導
- ・論文などを読み知見の獲得
大きい病院であれば院内で様々な役割がありますし、スタッフへの教育も必要です。さらに、論文を読んで自分の知識を深めることも医師として重要な仕事です。患者から見える以外の仕事も多く抱えているため、とても忙しいのです。
長時間残業前提の36協定が結ばれていることもある
医師も36協定を結ぶことで法定労働時間を超えて勤務させることが可能になります。
一般的な36協定と特別条項
法律で定められている1日8時間、週40時間の労働時間を超えて勤務する必要がある場合は時間外労働の限度を定めた36協定(労使協定)の締結と監督署への届け出、割増賃金の支払いが必要です。
36協定で定めることのできる時間外の労働時間は下記です。
- ・月45時間
- ・年360時間
この36協定に特別条項を付加すれば上限を超えて時間外労働を行うことが可能になりますが、下記のような制限があります。
- ・年720時間
- ・複数月平均80時間
- ・月100時間未満
- ・年6ヶ月までの範囲で適用
医師は特別条項に関する規定がない
ここまで説明してきた36協定ですが、医師は特別条項の制約がありません。
つまり、年720時間以上の時間外労働も、月100時間以上の時間外労働も可能だということです。
実際に締結されている36協定の例を見てみましょう。
- ・岐阜市民病院:残業上限月150時間
- ・京都中部総合医療センター:残業上限月150時間
- ・日赤医療センター:残業上限月200時間
- ・国立循環器病研究センター:月300時間
特別条項付き36協定の制限がないため、どこも異常な時間外労働が可能になっています。
いくら働き方改革が進められても、医師はその適用除外にされていることもあり、総合病院などで勤務医として働く以上はこのルールを強いられます。
現時点で勤務時間の長さによって疲弊している場合は、なるべく早く環境を変えることが最優先となるでしょう。
労働基準法と医師の残業ルール
そもそも労働基準法において労働時間がどのように定義されているのかを確認してみましょう。
労働時間の定義
過去の判例から、「労働時間」としてカウントできるのは、使用者の指揮命令下に置かれている時間(三菱重工業長崎造船所事件・最判平成12年3月9日労判778号)のことであるとされています。
つまり、「この仕事をやってください」「この時間まで業務をしてください」と指示されている時間は基本的に労働時間になります。
また、明示的に指示をされていなかったとしても、就業時間内に終わらない量の仕事がある場合や指示された時間では絶対に終わらないような場合も労働時間と判断されます。
勤務医と研修医は労働者
勤務医と研修医は労働者となるため、労働基準法が適用されます。
「医師だから」という理由で法外な残業を強いられている場合は、そもそも違法な労働環境である可能性が高いです。
労働時間の管理が曖昧になっていることが多い
医師の場合、宿直などで仮眠をとったりすることもあり、どこからどこまでを労働時間とするかについての管理が非常に曖昧になっている事が多いです。そのため、労働をするために拘束されている時間にも関わらず、残業代が支給されていないということもあります。
医師は管理職だから残業代が出ない?
労働基準法上で「管理監督者」とみなされるには以下のような要素を満たす必要があります。
- ・病院の経営者と一体的な立場で、病院の経営に関与できる
- ・病院の職員の採用や労働条件を決定する権限を持っている
- ・他の医師に比べて高い待遇を受けている
- ・出退勤の時間が自由
実際、ほとんどの医師が管理監督者の要件を満たしていないため、「管理職だから」といわれて残業代が出ていない場合は弁護士に相談してみたほうがいいでしょう。
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